映像の前後につける余白の話

前回、画面の上下左右の余白について触れたが、今回は時間軸の余白の話である。

ラルゴでは、DVD、ブルーレイの本編映像の前後に無音、無地の映像を入れている。
「リーダー」「映像ののりしろ」など、様々な呼び方がある。

テレビ、ビデオの業界では「ステカット」と呼ばれることが多い。

本編以外の不要なカットで「捨てカット」ということかと思っていたが、
或るプロダクションで「ステーションブレーク」からきているんだとドヤ顔されたことがある。

言葉の意味はさておき、重要な役割がある。

DVD、ブルーレイなど、ディスクメディアでは、
再生の立ち上がり時、映像が安定しないことがある。

不調

また、再生機器によっては、再生のスタート位置が数秒ずれることがある。

なので、いきなり本編ではなく、数秒、無地無彩色のカラークリップを入れ、
再生状態が安定したところで本編が始まるようにする。

ラルゴではディスクの開始に5秒間、黒、または白の「ステカット」を入れている。

ディスク最初

本編映像の終了時にも、再生機器によっては、数秒早く再生が終わってしまうことがあり、
本編終了時の余韻も含めて10秒間、カラークリップをつける。

エンド1

黒にフェードアウトして終了パターン。

エンド2

一旦ホワイトアウトして、フェードアウトパターン。


ビデオの明るさの余白

撮影素材とテレビ画面出力に差がある例として、ビデオの明るさについて少し触れておく。

計器の見方等はおいおい触れていくとして、

カメラ

映像の明るさを表す単位として「IRE」というものがある。
ビデオカメラの記録メディアには「-7.5IRE」から「108IRE」の階調(明るさ、トーン)が記録できる。

ところが、DVDでの再生出力は「0IRE」から「100IRE」までとなっており、
「0IRE」以下は黒つぶれ、「100IRE」以上は白とびになってしまう。(白い衣装、腰周りあたりのひだに注目)

DVDトーン1

撮影機材、上映形態を考慮して、ある程度トーン調整することが多い。

DVDトーン2

常に、送り手は、受け手の状況を優先して考え、エンドユーザーにとって最適なものを発信する意識を持つべきだろうと思う。